ウエイトリフティングを見る時の楽しみ方やポイント、ルール

その他

みんな名前は知ってるけど、詳細はあまり知られていないマイナースポーツの重量挙げ。「ウエイトリフティング」や「オリンピックリフティング」と呼ばれたりもします。

基礎知識

男子と女子がある

男子と女子でルールの違いはありません。女子の日本人選手では、三宅宏実選手や八木かなえ選手が有名ですね。

階級ごとに行われる

男子女子ともに10階級ずつあります。ちょくちょく変わります。

男子女子
55kg
61kg
67kg
73kg
81kg
89kg
96kg
102kg
109kg
109超kg
45kg
49kg
55kg
59kg
64kg
71kg
76kg
81kg
87kg
87超kg

バーベルシャフトだけでも重い

バーベルシャフトは重り(ディスク)を付けない状態でもそれなりに重たいです。

男子用:20kg
女子用:15kg

長さやシャフトの太さに差があるため、男女で重さが異なります。女子用のほうが細いのですが、これは握りやすいよう手のひらの大きさに合わせているためです。

2つの挙げ方で競う

「スナッチ」と「クリーン&ジャーク」という2つの挙げ方で競います。

スナッチ

バーベルシャフトを一気に頭上まで持ち上げる挙げ方。手幅は広めです。

クリーン&ジャーク

バーベルシャフトを一度肩まで持ち上げ、肩から頭上へ挙げる方法です。手幅は狭めで、スナッチより重い重量を挙げられます。

3回ずつしか挑戦できない

1回の試合でスナッチは3回、クリーン&ジャークは3回、計6回だけしか挑戦できません。つまり1回1回がとても重要なのです。

片方の試技に3回失敗すると記録なしとなる

オリンピックなどでは、スナッチの試技を3回すべて失敗するとクリーン&ジャークに参加することができません。

成功か失敗は3人の審判のジャッジで決まる

選手が試技をするプラットフォームのすぐ前に3人の審判が座って見ています。彼らは「挙上時に肘と膝が伸び切っているか」「挙上時に静止しているか」などから成功か失敗を判断します。

3人中、2人以上が成功と判断すると成功です。

挙げる重量の軽い順に挙げていく

試技は階級ごとに行われ、試技の順番は挙上する重量の軽い順です。

例えば女子58kg級のスナッチで、100kgに挑戦するAさんと110kgに挑戦するBさんがいれば、Aさんの100kgの試技が先に行われます。つまり、後半になればなるほどプラットフォーム上のバーベルシャフトが重たくなっていきます。

見るポイント

とてもセンシティブなスポーツ

観客や審判など、選手以外のほぼ全ての人が選手に向かって座っています。つまり、選手は多くの人に真正面から見つめられた状態で試技をします。

さらに選手がシャフトを握って持ち上げる直前、会場は急激に静かになります。学生や社会人の大会に行ったことのある人はわかる思いますが、あの緊張感はすごいです。「見てるこっちが、口から心臓出そうだった」と言う人もいました。

そんな中、選手は他の選手に勝つために、1kgでも重い重量に挑戦しなければなりません。さらに1回失敗すると「次も失敗したら。。。」と負の思考に陥りやすくなります。

重い重量を力任せに持ち上げる野蛮なスポーツと思われがちですが、とても繊細で緊張感の強いスポーツです。

メンタルの強さが求められるスポーツ

そんな緊張感の中で試技を成功させるには、いつも通りに挙げられることが重要です。練習では問題なく挙げられる重量なのに、緊張感に負けてフォームが乱れ、全ての試技を失敗してしまうこともよくあります。

観客の有無や会場の雰囲気、他の選手の試技結果など、影響を受ける要素が多分にあります。これらに負けない強い精神力が求められます。

また、失敗しても次の試技でそれよりも重たい重量に挑戦し、成功させるメンタルの強い選手もいます。

個人的に、弓道と非常に似ていると思っているのですが、同じことを書いていらっしゃる方がいました。

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瞬発力で挙げている

腕力で挙げるイメージが強いですが、全身のバネや下半身で挙げるイメージです。そのためか重量挙げ選手はジャンプ力が高いです。

力も大事だが、フォームはもっと大事

小さな力で重いものを持ち上げるには、

  • 力を効率的にバーベルへ正しく伝えること
  • 最短距離で挙上すること

を達成するためのフォームが不可欠です。そのためなのか、個人的な意見なのですが、特に女子の軽量級はフォームのキレイな選手が多い印象があります。

ボディビルダーのような筋肉ムキムキではない

重量挙げの目的は「少しでも重いバーベルシャフトを頭上へ挙げること」であり、「筋肉や体を鍛えること」ではないからです。

試技まで選手はどうしている?

自分の順番になるまでの時間を逆算して、選手たちは舞台裏で最終調整をしています。

選手によりますが、だいたい試技の30〜40分前からウォームアップを開始します。重りの付いていないシャフトからスタートし、試技で挙げる重量へ徐々に増やしていきます。

先述のとおり、挙上する重量の軽い順に試技が進んでいきますので、150kgの試技をしている選手の裏で、同じ150kgでウォームアップしている選手がいたりします。

Lu Xiaojunの場合

下の動画は、2018年にトルクメニスタンで開催された世界選手権でのLu Xiaojunのウォームアップの様子です。Luは中国のウエイトリフターで、77kg級の合計重量(380kg)の世界記録保持者です。

動画を見ると、彼は34分前にウォームアップを開始しているのがわかります。

この時の、Luの最初の試技重量は165kg。

試技する重量が重いほど出番が後になるので、アメリカ代表のHarrison Maurusが150kgで最初の試技をしている時、Luはまだサポーターを付けています(動画3:00〜)。

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